雪庇発生のメカニズム >>> 発表論文より解説
雪庇とは?
積雪地域では屋根の風下側のパラペット(軒先)部に雪がせり出し、垂れ下がる現象が起こります。このせり出した雪が雪庇です。
雪庇の発生
パラペットを通過した雪を含んだ風が、下に巻き込む渦となりパラペット付近に雪が付着して発生・成長すると考えられています。
さらに雪庇は屋根との温度差で、少しずつ部分的に溶け、外気でもう一度冷やされ、下の方が氷になります。どんどん圧縮されて重みを増し、せり出してきて落下してしまいます。
札幌近郊の気象条件では風速4m/s程度から雪庇が発生しています。
雪庇を防止するには
雪庇の発生を防止するためには、屋根の風下側で発生する建物の下側に巻き込む渦を、建物から離す必要があります。
そのためには風向を変え、風速を上げることが最も効果があります。
スノーセイバは様々な実験により、雪庇の発生を防止、軽減するための最適な形状を採用しました。
風向をコントロール
煙風洞による気流の可視化実験で、建物の下に巻き込む渦が、建物から離れていくことが確認されています。
風速をコントロール
風速比分布図のように、スノーセイバを取り付けていないパラペット部分では0.65まで風速が遅くなっています。
しかし、スノーセイバを取り付けた場合では1.1以上と、風速が速くなっていることが分かります。
圧密沈降による効果
風速が弱い状態で降雪が続くと、スノーセイバが雪に埋もれる状態となり、小さな雪庇が形成されます。
しかし、スノーセイバの傾斜方向に沿って雪の沈降現象が起こり、付着した雪庇は小さな状態のまま切り落とされます。
このような状態を繰り返し、大きな雪庇が形成されません。
参考論文
(1)苫米地司・小林敏道:屋上雪庇防止工法に関する基礎的研究
(A Study on Countermeasures Against Cornice on roof))
日本雪工学会誌vol.5 No.1,pp.3-9,Mar.1989
(2)小林敏道:雪庇防止工法の実施例とその効果について
(A Study on Countermeasures Against Cornice on roof)
第13回日本雪工学会大会論文報告書Vol.13,pp.151-152,1996.11
苫米地司:北海道科学大学 小林敏道:株式会社コバエンジニア